キナコログ

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着物はじめ体験記:番外編

 

前回の秋が来たりて編の冒頭にて、9月はちょっと忙しくて…と書きましたが、写真を辿ってみたら打掛を着ていました。滅多にないことなので、その時の話でも。

というわけで、短めの番外編です。

 

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所謂前撮りというもので、打掛を着ました。

理由は単純で、紋付袴とか打掛なんて一生に一回着れるかどうかだから、着てみたいよね〜と意見と予算が合致したからです。

景色のいいところに行ったりはせず、式場とその周辺で撮るというプランでした。

 

まあまず選ぶところからなのですが、打掛ってしぬほど重いんですよね。

スタッフさんが、3着までなら試着OKです!って写真例を見せてくれながら言ってくれたのですが、なんかもう選んだ3着をどこからか運んできてくれるのを見ただけで正直腰が引けました。なにそれ、そんな重いの?やばくない??それ着るの????ほんとに??????

上に載せた写真が試着時に選ばせてもらった3着なのですが、まあどれも見事な総刺繍に箔あり、豪華絢爛で。つまりは生地と刺繍糸でめっっっっちゃ重いんですけど。

よく見るスタンダードな赤や臙脂の吉祥文様のものだけでも、文様や柄の色味等で雰囲気が全然変わるので、写真例を見比べるだけでも楽しかったです。とりあえず赤系2種と、あとはガラッと印象が変わる紫地のものを選んでみたりしました。

3着大変な思いをしつつ(スタッフさんも一苦労だったと思われる…)試着してみたところ、臙脂から黒にグラデーションが入っていて、文様としては鶴がメインのものが一番しっくりきたのでそれに決定しました。

色々と小物も用意してもらい、身につけたのですが一番テンションが上がったのが「懐剣(かいけん)」。武家の女性が身につけていた、護身用の短刀のことですね。まあ式用の小物なので、本物の短刀ではないしアクセサリー的に挟んでもらっただけなので儀式的な名残を感じる程度のものなのですが、なんだか色々なことを思ってしまってじわっときました。

はあ…粟田口の短刀もこんな感じで武家のお姫様の式の懐に入れられていたこともあったんだろうな。

 

そして撮影当日。天気も良く、秋空爽やかに澄み渡り。

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着ました。

カメラマンさんがいい感じに、外と式場内のありとあらゆるところで撮ってくれました。(これは着付け&お直し担当の方が携帯で撮ってくれたもの)

色々な場所でたくさん撮ってくれるのはいいのですが、あまりにも打掛が重くて限界を迎える私の肩。

後半笑顔を作るのがしんどくなっていき、最終的には肩が痛過ぎて動かせなくなり、その痛みがつら過ぎて気持ち悪くなってくる始末。ひとは肩の痛みが限界までくると泣きたくなるし気持ち悪くなるし頭も痛くなってその場で動けなくなるという学びを得ました。

撮影自体は楽しかったし、こうして写真を見返すと華やかだしやってよかったなー!と心底思っているのですが、肩にはほんと気をつけて。特に普段からデスクワークなどで肩の調子が悪いひと。ほんとうにやばくて最後休み休み撮影をやってもらったので申し訳なかった……。

結局、撮影後3ヶ月整体に通って完全に死亡した肩をなおしました……元から悪かったとはいえ、まさかの物理的な重さでトドメを刺してしまうとは夢にも思わなかったな……という。私の肩もびっくりしてると思う。

あの色打掛、何kgくらいあったんだろう。10kgは軽く超えてたぞ絶対。

 

軽く打掛というものについて調べてみたところ、室町時代に小袖の上から羽織るようになったのがはじまりとありました。たしかに博物館にもよく小袖の隣に煌びやかに展示してある印象。

打掛といっても、式に使うような豪華絢爛なものは日常着には程遠いのでしょうが、平安時代十二単なんて20kgはあったと言うので、思わず昔の人の肩は大丈夫だったのかなあと思わざるを得ない事件でした。

まあでも着てみてよかったです。着物を着はじめていたこともあり、打掛自体にも興味を持ってみることができましたし。

実は着たのと同じか、似たような柄行の打掛がそのあと京都のリサイクル着物屋さんで壁にばーんっと吊るされて売られてるのを見かけて笑ってしまったのですが。色打掛ってリサイクルで売ってるんだ……みたいな。

そういう色々なところ込みで貴重な経験でした。

 

さて、次こそ「寒さ、到来」。

 

 

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衿はめいっぱい抜かれましたの図。